NARUTO 未来設定、火影ナルサク
まだくっついていない二人の設定で書いています。
本編はまだ戦争中それも佳境なので、どうなるかわかりませんが
いつも通り好き勝手書かせていただきます。

「遅咲きの桜」 は4で完結です。1からご覧くださいませ。

 

遅咲きの桜4

 

重ねられる唇。
一度ぶつかって。角度を変えてもう一度ぶつかって。
深く私の中に入り込んで来る。
温かく柔らかな感触に頭がクラクラする。
そして胸いっぱいに広がる懐かしい匂い。

戦争が終わって、ナルトが里にとっても他国にとっても英雄となって、
私は無意識に距離をあけるようになっていた。
あの戦争の最後、ナルトが死に瀕していた時のような距離はけっして詰めなかった。
肩が触れるような、手が届くような距離はとってはいけない、と。
だって、私にはその資格がない。

「サクラちゃんの匂いがする」
肩先に顔をうずめられる。
下忍の時、音忍に追われて逃げた。木の葉崩しの時一緒にサスケくんを追った。
サスケくんがいなくなって彼に重い約束を課した。
雪の中、ナルトを止めたくて嘘をついた。
サスケくんを殺されそうになった時、助けに来てくれた。
戦争の時、ナルトが死にそうになって私は……
頭の中を巡る懐かしいビジョンに頭がクラクラする。

「逃げないんだな」
「え?」
「意地張ってたって証拠見せるってばよ。ほら」
ナルトが顎を向けた方に視線を向けてギョッとする。
鏡の中に映る抱き合う男女の姿。
「な……っ」
正視に耐えず慌てて身を離そうとしたけれど、ガッチリと捕まっていて身動きが取れない。
でも、その前に気付いてしまった。
しっかりとナルトの背にまわされていた自分の腕。
そして、真っ赤になった自分の顔。

私は鏡から隠れるようにナルトの肩先に自分の顔をうずめた。
雪の中、ほとんど一緒だった背はいつの間にか大きく差を開けられていた。
あの時はナルトに拒絶されていた。
真実を隠そうとしていた私をナルトは受け入れてくれなかった。
でも、今は違う。
ポッカリと開いていた穴は何か温かなもので満たされていた。
ナルトの匂いをいっぱい吸い込んで、私は心から安心して目を閉じた。

 

「よし、会談に行ってくるってばよ」
「え」
「サクラちゃんを充電出来たから大丈夫。今日のオレは断固として引かねーからな」
「ナルト……」
「あのさ、今日終わったらまたここ来てもいい?」
「え、でも」
「あ、やっぱやめた。サクラちゃん家行っていい?」
真剣な眼差しで見下ろされ言葉が出てこなくなる。
「いい?」
もう一度聞かれ、私は小さく頷いた。
「っしゃ!」
ガッツポーズをとるナルト。
鏡を見てないからわからないけど、多分その時の私はとても自然に笑顔を見せることが出来ていたと思う。

窓から出て行こうとしたナルトが、ふと立ち止まって振り返った。
「じゃあ、ここ」
自分の頬を指差す。
「え?何?」
「行ってらっしゃいのチューして」
「……は?」
「無事に行って帰ってこられるようにってさ」
ほらほら、と自分の頬をつつくナルト。クネクネと動く腰。タコみたいな口。

「な、アンタは何をふざけてるのよ」
「ふざけてねーって。だって、やっぱアイツ気持ち悪いからさ。サクラちゃんにもっとパワー貰っておかねーと戦えねーっつーか。あ、出来ればサクラちゃんに一緒に来てもらってビシッと断ってもらえたら……」
「アンタは」
私は手を振り上げた。
「調子に乗ってんじゃないの!」

バチーン!!

高い音が響いて、頬に赤い手形をつけたナルトはすごすごと火影室に戻って行った。
知らない。
介抱でも何でもされてらっしゃい。その会談相手の男とやらに。

パンパンと赤くなった手をはたいて私は時計を見上げた。
今日は早めに帰ろう。
家の中を片付けなきゃ。
それから鏡に映る自分の姿を見て、少し首を傾げる。
「私が里のオババですって?!フン。そう呼べるものなら呼んでみなさいよ。私には綱手様直伝の術があるんだから!」
それから書類に目を落とすと「っしゃ!」と気合いを入れてペンを手に取った。

 

窓の外、濃い紅の花弁を開いて咲く一本の小さな樹。
一面青々と葉を広げる桜の林の中、今やっと紅く色づくその樹を、眩しそうに見つめる早咲きの桜の樹があった。

 

ー 終 ー

 

ひとこと

久しぶりに書いたので、すごく時間がかかりました。
なんか書いたネタばっかな気がしてツライですなー。すみません。
とりあえず男にモテるナルトということで。
彼は今晩、無事サクラちゃん家にたどり着けるのでしょうか。

 

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