えー、いつも通りネタバレ注意。
ジャンプ読んでない人は回れ右お願いします。

 

 

 

 

 

茅野カエデちゃん、
まさにヒロインの真骨頂じゃないですか!

「意味なしヒロイン」って言われてた時代が懐かしいですな。
「これぞヒロイン!」やってくれてます。

なんか一部では胸ネタが出てますが。演技とか。
妄想膨らませるのは私も大好きですけども
「暗殺教室」は素直に展開を待ってしまいます。

ちゃんと髪をほどく辺り演出ニクイぜ、松井せんせー。

え、カエデちゃんの安否が心配じゃないのかって?

ええ。
だって私は信じてますもの。

裏と下をギリギリいってるようで、
きっちり仕分けて正統派正義のこの漫画を!

というわけで、生き残り前提ながら、曖昧に書いてみました。
来週にはどうなるか知らんけどー(笑)

 

 

 

 


 

「お姉ちゃんの婚約者ってどんな人?」

そう聞いたら、お姉ちゃんは一瞬口ごもって

「とても頭のいい人よ」

そう答えた。

「柳沢誇太郎」で検索したら写真が何枚も出てきた。
どこかの研究所でリーダーをやってるとかで
研究について熱心に語ってたけど、全然面白くない。
蛇みたいな目の男だと思った。

お姉ちゃんはなんであんなヤツと婚約なんかしたんだろう?

 

ー Hole ー

 

snake

 

重くて長い黒髪。
「薄幸の少女」って設定にはピッタリだった。

「少しだけ休む期間が必要なのよ」

事務所にそう言われてヒマになった。

効率よく台本を覚え、
効率よく学校に登校し、
効率よく日々の生活をこなしていた私には
普通の生活はヒマ過ぎた。

つまらない。

「恋でもしてみたら?」って
お姉ちゃんは言ったけど

そう言うお姉ちゃんは
ちっとも楽しそうじゃないのに?

でも最近、お姉ちゃんは変わった。

相変わらず忙しそうで、
夜も昼も帰って来なくて
顔なんか全然合わせられないけれど

電話の声が妙に華やいでる。

あ、もしかして、
あの蛇のような「柳沢さん」が
実はツンデレで
本当はイイヤツで
お姉ちゃんとラブラブになったとか?

……なんて勘ぐったりしたんだけど
どうも違うみたい。

そういう設定、ドラマじゃよくあるし
私、結構好きなんだけどな。

でも
「触れられなくても気持ちって通じるものなのね」
とは、お姉ちゃん談。

恋愛小説でも読んで自分を慰めてるのかな?

また、ある日は拳を固く握りしめて叫んでた。

「進化って本当に素晴らしいことだわ!
糸のように細く細く伸びて、小さな穴をくぐりぬけたのよ。
それから私の目の前で手を作ったの。大きくて温かい手を。
願いって本当に叶うのね。人の想いというものは、
どんな逆境にもくじけないで夢を形にしていくんだって、私……!」

夢を形にする? 何が?

そのクサさってば、もしかして青春映画?
でも進化ってことは、SF映画かな。
宇宙人との恋愛にでも感動したのかしら?

電話の向こうのお姉ちゃんの興奮が、私にはまるでわからなかった。
ただ、お姉ちゃんが幸せそうなことは嬉しかった。

お姉ちゃんは素直で優しくて可愛くて
頭はいいのにドジで正義感たっぷりで
たまにうるさかったりするけど自慢の姉。
お姉ちゃんが笑顔でいてくれれば、それでいい。

 

 

……お姉ちゃん

 

煌々と燃える炎の中、
お姉ちゃんは血だらけで倒れてた。
映画の、ドラマのセットだと思った。

「カット!」
そんな声が飛んできそうな見事なセット。

でも私、知ってた。
あれは死んでいく人の血の量だって。

お芝居は現実以上にリアルを追求する。
どこまでが大丈夫で、どこからがダメか
そんなの一見してすぐわかる。

それにお姉ちゃんは女優じゃないし
あそこでお姉ちゃんを抱えてるのは見たこともない化け物。

でも私、不思議だった。
あの化け物が泣いてるのがわかったから。

「男は背中で演技しろ」監督はよくそう言ってた。
そして、あの化け物は確かに
恋人の死に耐える一人の男の背中をしていた。

ドキドキした。

私が死ぬ時、あんな風に耐えてくれる人、いるだろうか。

そんな人に逢えたらいいな。
逢いたいな。

 

 

ふと渚の顔が浮かぶ。

……いや、それはないでしょ。
ないない。

私は笑って手を横にパタパタ振る。

渚は違う。

渚は必要があると思えば遠慮せずに前に出れる人。
だから私を助けてくれた。
自信があって、勝算があって、仲間意識が強かった。
ただ、それだけ。

そうね。
だから確かに私が死んだら
あんな風な背中を見せてくれるかもしれない。

でもね。でも私、
仲間じゃなくてもっと……
ううん、もう少しだけ特別がいい。

渚のたった一人になりたい。

 

 

暗い。

冷たい。

熱い。

穴が開いてる。

どこかに穴が。

 

 

「あなたを死なせはしない」

せんせーの声が聞こえた気がした。

せんせーの声って安心する。

あったかくて、強くて、自信に溢れてて
でもどこか寂しそうで、泣いてるみたいで
守ってあげたい、側にいてあげたいって思う。

ね、せんせー。
その声で、お姉ちゃんに迫ったでしょ?

お姉ちゃん、弱いものに弱いんだから。優しいんだから。
そんな声聞いたら、すぐ転んじゃうんだから。

「あの人に誓ったのだから!」

無理だよ、せんせー。いくら先生でも……。

でも、それでもどこかで信じてる私がいる。
せんせーなら絶対大丈夫って。

先生って大変だね。
渚ってば、そんな大変な職業を目指そうとしてるんだね。

 

 

目が覚めたら黒い空。
真っ先に見えたのは可愛く跳ねたツインテール。
私が無理にさせたのに、ずっとそのまま。

「茅野……」

心配そうな
悔いてるような
悔しそうなような
そんな声。

私は笑った。
「渚の声もいい声だよ」

驚いたように見開かれる大きな瞳。
そこに映るのは、あかりじゃなくカエデ。

あの日、キスされた時に映ってたのはあかりだった。

じゃあ、もう一度キスされたら
今度はあかりになる?

「そんなのどっちでもいいから

……死ぬな」

抑えたような声が聞こえて、視界が肌色に埋められた。

 

 

ー 終 ー

 

 

ひとこと

……え?
なんで渚がチューしたかって?

えー、それは多分、血止めの薬とかー、
あとはえー、なんでしょね。

ほらほら、カエデっちの意識を奪って安静にさせる為とか?
いやいや、すみません。妄想要注意でした。

 

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